2018-06-11
[0065] マズローの法則
前回のコラムでは、変革期におけるピンチとチャンスをテーマに、資本主義から価値主義への移行について意見を述べました。
今回は、この価値主義をテーマに意見を述べたいと思います。
小学生時代にサッカーを始めたのですが、幼少期から物持ちが良いものの、運動靴だけは例外でした。
当時一般的な小学生が履く靴では1ヵ月も持たなかったことや、サッカーを本格的にやっていたこともあり、中学年あたりからはトレーニングシューズを履いていました。
中でも大好きだった靴は、アディダスのサモアという靴でしたが、当時は8,800円もしました。
実家は裕福ではなかったのですが、しつこくおねだりしてやっと買ってもらったときの嬉しさは、今でも記憶に強く残っています。
ところが、数年前に上海駐在中の一時帰国のときに、革靴を買いに行ったところ、このサモアが売っていたのです、しかも4,000円程度で。
見た瞬間、当時を思い出し、衝動買いをしてしまいました。
皆さんもこうした経験があるのではないでしょうか。
一方、近年はモノが売れない時代を迎えています。
成熟期を迎えて、世の中にモノが溢れだしたからという理由が第一に挙げられると思います。
しかしそれだけではなく、私たちの生活が豊かになったからとも言えます。
このあたりを上手に説明しているものの一つに、「マズローの法則」があります。
アメリカの心理学者であるアブラハム・マズロー氏が提唱した学説で、ピラミッド形式で6段階による欲求の変化を述べています。
最下位層(第1段階)である「生理的欲求」は、食欲等の基本的な本能を満たす欲求です。
これが満たされると次は、危険を避け、安全・安心に過ごしたいという、第2段階の「安全の欲求」へ移行します。
そして第3段階では、社会に属して自身の居場所を持ちたいという、「愛情と帰属の欲求」への移行。
すると今度は、その集団の中で認められたいとか尊敬されたいといった、第4段階の「承認(尊重)の欲求」が生まれます。
これが実現できると、第5段階である「自己実現の欲求」へ、そして最後に最上位層である第6段階の「自己超越」へと移行するという趣旨です。
人間は豊かになると、衣食住の充実に加え、空間・時間のプライバシーや清潔感を確保しようと、日本ではバブル時代以降から第3段階へ突入したと考えます。
そして、今世紀頭あたりから第4段階として個性も尊重される時代、つまり多様性化時代へ移り、今、まさに第5段階である「自己実現の欲求」を模索し始め、今後、「価値主義」へと移行していく状況にあると捉えています。
したがってビジネスを考えると、やはり、「顧客から見た価値とは何か?」を第一に考えていく思考へ切り替えるときを迎えていることになるのです。
皆さんも今一度、ご自身の仕事で「顧客から見た価値とは何か?」を考えてみてはいかがでしょうか?
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