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コラム

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2021-09-16  [0177] OEMビジネスモデルについて

近年、経済ニュースで「PB商品」に関する記事が増えているように感じています。
PBとはプライベートブランドの略称で、「小売店や卸売業者が企画販売するブランド」を指します。
つまり、OEMの1つですが、今回はこの分野について述べてみたいと思います。

OEMという言葉自体は皆さまもご存じと思いますが、実はビジネス用語としての俗語で、厳密な定義や明確な境界線がなく、業界によって用語が異なることがあります(*1)が、一般的には以下の2つに分類されています。

(a) 完成品、または半完成品を相手先ブランド名で製造
(b) メーカに対して、自社ブランド製品の製造を委託

両者共に企業間で販売と製造の役割分担をすることが1つの特徴ですが、加えて企画や開発設計を始めとしたバリューチェーン(*3)の中で、どちらが実施するのかという点で名称が変わることもあります(*4)。
こうした理由から混乱しがちですが、当事者間の契約で定められます。
ただ、いずれも購買者/消費者から見ればあまり関係ないため、ひとくくりにしてOEMと呼び、特に経済ニュースで頻繁に話題が続くと、新たな俗語(*1)が生まれているようです。

では次に、OEMビジネスに対する委託側と受託側の一般的なメリットやリスクを述べます。
ここでは委託側は販売を、受託側は製造の場合を述べます。
<メリット>
両者共通: 販売カバー領域拡大、一定の生産販売物量確保、ラインアップ充実化/維持、
比較的短時間でのビジネス立上げが可能
委託側: 生産機能のコスト/投資の削減/抑制
受託側: 販売機能のコスト/投資の削減/抑制、相手先の営業力/商流活用、
生産量拡大によるコストダウン効果

<リスク>
両者共通: 技術/生産情報の漏洩/転用、将来競合となる可能性あり
委託側: 生産利益低減、技術開発/生産力の脆弱化
受託側: 販売利益低減、販売数量制御が困難、生産量が不安定、
コストダウン圧力が大きい(価格支配権の低下)、顧客情報入手困難、
下請け化、営業販売力の低下(依存化)、自社ブランド/知名度浸透不足

さて、前置き説明が長くなってしまいましたが、ここからが本題です。

私自身も会社員時代に製造側としてのOEM契約締結協議や開始準備/立上げ経験と、販売側としてのアライアンス(*5)契約管理(複数商品のOEM享受)の経験から、OEMビジネスは特に製造側にとって非常に難しいビジネスと感じています。

そもそも製造側にとっては、販売側に対して「市場カバー領域拡大」や販売側の商流による「物量拡大」と「事業効率アップ」、言わば自社の弱みを補完できることを期待して臨むことでしょう。

しかし、価格や販売側の優先度、そして注力度の制御ができないだけでなく、顧客情報(声や動向等)も得られにくく、且つ販売側の企業文化によっても開始前の期待に対するアンマッチが起こります。
また、代表的な売れない理由として価格高を挙げられ、数量確保どころか値下げを強いられ、結果として当該OEMビジネスが赤字になってしまうことが多々あります。

OEM対象商品は、コモディティ化された市場でよく行われますが、その背景には自社の成長過程での弱みを補完や、急成長させる必要性、それを本業/主力とする、或いはその他やむを得ない事情による打開策として、意思決定や決断がなされることと思います。
そして、その意思決定/決断は、短期・中期までならまだ良いですが、長期的な視点で捉えると、その選択枝が本当に自社にとって良いのかを、始める前に考えなければなりません。

例えば、OEM提供ビジネスそのものを本業や主力とするビジネスモデルの転換を図るのであれば、世の中には少数ではあるものの成功事例がありますが、それが日本企業で同じように成功できる確率は非常に小さいと捉えています。
また、契約締結前は魅力的な物量が先走りしますが、いざ始めてみると0が1つ、2つ少ないなんてことも典型的あるあるの1つです。
もちろん見込以上に売れることも当然あることでしょう。

製造による利益よりも販売による利益の獲得の方が大きいですし、OEM受託側は販売側への依存が少なからずとも生まれるのみならず、利益拡大が見込めなくなることを前提として考えなければなりません。
更に、当該市場に自社オリジナル商品があれば当然「共喰い」も生まれますが、逆にOEM受託をしなければ、競合他社にシェアを奪われてしまうリスクもあることと思います。

一方、家電業界を見ると分かりやすいと思いますが、近年はOEM受託側のメーカが複数ブランド向けに一部仕様や部品を変えて製造するケースの増加や、量販店で見かけるメーカの顔ぶれの変化から、コモディティ化された市場では他産業でも同様のことが起こると予想できます。

もちろん各社ビジネスの内部/外部環境状況は千差万別ですので一概には言えませんが、サンクコストバイアス(*7)に陥らず、当該自社商品の製造を止めて他社からのOEM需給へ切り替えることや、ビジネスモデルの転換を図って顧客との直接接点機会をつくることの方が、将来性があると考えています。

以上、今回はOEMビジネスモデルについて、特に受託側が製造者の場合に対して、私見を述べました。


*1: 代表例として、PB商品やEMS(*2)があります。
  ちなみにPB商品は、小売業界や卸売業界で販売側のみが使う言葉と定義されています。

*2: 電子機器の受託製造サービス。部材調達、設計、配送等の製造以外も行う企業もあります。

*3: 主活動となる購買物流、製造、出荷物流、マーケティング/販売、サービスと、支援活動となる調達、技術開発、人事・労務管理、全般管理

*4: Re-label、Private label、ODM、ファブレス、ライセンス契約等。

*5: 企業同士が提携することで、双方が経済的メリットを享受すること。
  アライアンスは業務提携(*6)と資本提携に分けることができ、OEMは業務提携の1つになります。

*6: 生産/販売、技術、産学連携、オープンイノベーション等を指します。

*7: 既に費やした投資や手間暇に固執し、決断や意思決定を鈍らせてしまうこと。

<ご注意>
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