2017-08-24
[0015] 安売りは悪
今回は、営業部門の方々は立腹する内容となっていますが、一般論としての話ですので、ご了承ください。
価格を下げることは一番簡単で、誰でもできます。
安易な安売りは決してやってはいけない行為ですが、まず、その背景を振り返ってみたいと思います。
・対象商品に対し、他社製との差異が出せないために安くせざるを得ない。
・他社が価格を下げたから、追随して安くせざるを得ない。
・受注/売上ノルマを達成するために、安くせざるを得ない。
・商品が古い等の理由により、商品価値が下がっていることから、安くせざるを得ない。
・商品ラインアップが多すぎて、販売側への情報提供やソリューション提供が不十分のため、
安くせざるを得ない。
・買い手側の調達部門が、何が何でも安く仕入れようとし、根負けして安くせざるを得ない。
・友達なので、安くせざるを得ない。
値下げが実現できるのは、通常、その特定分野のシェアNo.1強者のみです。
シェアリーダーであると同時に、マス効果によるコストリーダーでもあるからです。
しかし、シェアNo.1企業は通常、そう簡単に自ら値下げをすることはありません。
何故なら業界全体が値下げをして一番利益が減って困るのが、実はNo.1だからです。
もし、No.1が値下げをすると、No.2以降はたちまち利益減となり、確実に体力を奪われます。
最近の身近な例で言えば、コンビニ業界です。
シェアNo.1企業が何かの商品カテゴリで値下げを始めると、他社も追随せざるを得なくなりますが、よほどの理由が無い限り、No.1が自ら値下げすることは、まず無いでしょう。
では次に、「安売りが悪」の理由について、再確認をしたいと思います。
(1) 商品やブランドの価値喪失。
商品には本来、価格と価値のバランスがありますので、このバランス維持の努力が必須です。
価格が下がれば、ブランド価値も下がり、負のスパイラルが始まります。
(2) 企業にとって最も大切なことは、売上ではなく、利益。
利益は次の開発費にもつながり、明日への糧となるのです。
(3) 一度価格が落ちたら、そう簡単には戻せない。
値下げには中毒性があり、買い手側は必ず次を期待します。
そして次が無ければ期待外れとなり、購買を控えるようになります。
ただし、「利益還元セール」は例外です。
超過利益は本来社会へ帰属すべきですので、社会還元の一環として行うことは、
市場や買い手側からの信頼を維持できます。
また、定価販売システムや在庫一掃セールも、別の話になりますので、除きます。
一方、西友が実施している「エブリデー・ロー・プライス(ELP)」は、マーケティング視点から見れば、一つの戦略です。
世界一レベルのウォールマートによる、流通網と圧倒的な物量の2点を強みとして、「常に最低価格を保証する」という価値を提供しているのです。
人間は心理上、「売りやすい商品を売る」、「安く売れる商品を売る」という本質があり、やむを得ない部分もありますが、価格下落について再度議論してみてはいかがでしょうか。
最後にもう一言だけ述べます。
「価格で獲得した顧客は、最後に価格で逃げられる!」
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